3月31日金曜日の夕方から喉が痛くなってきた。
 翌4月1日には咳が出始めた。
 花粉症なのか,風邪を引いたのか?
 コロナの可能性もあるが,どうなんだろう。

 ちょっとやばいなと思いつつ様子を見る。
 喉の痛みはそれほど強くない上に熱も出ないのだが,咳がだんだん酷くなる。
 3日の晩は,ほとんど寝られないほどになった。

 ちょうど3年前,特発性間質性肺炎の増悪ということで24日間入院し,それがきっかけでこの日記を始めた。
 退院時に主治医から,コロナはもちろんインフルエンザもダメ,風邪すら引かないようにと念押しされていたこのカラダ。
 参ったね…。

 4日の朝,病院に電話。
 主治医はいなくて,発熱外来に来るようにと指示される。
 入院の可能性はあるかなとは思ったものの,そのときはそのときと普段通りの軽装で出かける。

 発熱外来の受付は一応パーティションで区切られていて,一般患者とは隔離されている。
 入り口から分けられていた頃も知っているが,今はそこまで厳重ではないようだ。
 問診票にいろいろ書かされる。
 既往症とか薬とか,私のカルテがあるでしょといいたいところだが,真面目に記入。
 症状は主に咳,それも夜間がメインで,熱はないからコロナとは思えない(思いたくない)が,当然のようにコロナを疑われるのは前回入院時と同じ。

 記入後,2階の発熱外来へ。
 エレベーターまたはエスカレーターに乗る時点で動線が一般患者と合流するわけだが,全員マスク姿だからまあいいか。
 完全に分けるのは建物の構造からして無理そうではある。

 先客は女性ひとりだけ。

 PCRとインフルの検査,胸部レントゲンとCT,採血4本,心電図。

 CTを撮るため体を横にしたら突然鼻水らしきものがドバッと出てきて驚いた。
 ただの水に思えるくらいのさらさらの鼻水だ。
 いったいどこに溜まっていたのだ? 自覚がまったくなかった。
 どういう鼻の構造だろうね。
 マスク内が水浸しになったのには閉口したよ。

 PCRはビニールで囲まれた1m四方ぐらいの枠の中に入って受ける。
 若かりし頃下宿で使っていたビニール製の簡易タンスというかワードローブみたいなものだな。
 しかし,さっきの患者はこの中で大きなくしゃみを2回もしたぞ。
 飛沫が中に充満していそうで,恐ろしい…。
 患者が外で,検査士が中に入った方がいいんじゃなかろうかなどと思う。

 診察室に呼ばれて問診。
 CTの画像を見せられながら,この小さな影は肺炎ぽいのであなたの病状を考えればこのまま入院した方がよいと若い女医さん。
 では,入院しますと私。
 ま,隠居の身だから即決できるわけだけどね。

 タクシーを飛ばして一旦家に帰り,昼飯を食べ損ねたことに気づいてきのうの残り物をチンして大急ぎで掻き込んで,前回も使った入院リストにしたがっていろいろリュック等に詰め込んで,また途中でタクシーを拾ってトータル1時間半で戻る。

 PCRの結果は陰性で,インフルでもない。
 前回入院時はPCRの結果が出るまでに1日かかったと記憶しているから,ずいぶん早くなったものである。

 ただまあ,念のためというか,潜伏期という可能性もあるしPCRの信頼度もそれなりだからということだろう,陰圧室へ入れられる。
 前回入った陰圧室はICUの隣にあったが,今回は一般患者と同じフロア。
 前回はトイレも洗面台もないただの部屋でファンの回る音がやたらうるさかったが,今回は個室に少し手を加えただけのようだ。
 一般病棟と違うのは,扉が2mくらいの間を開けて2重になっていることと換気扇が高性能になっている(らしい)ことくらいか。

 あとでわかったが,廊下側の扉の上に気圧の差をチェックするらしいメーターがついていた。
 メーターのついた部屋がずらっと並んでいたからここにコロナ疑いと正真正銘のコロナ患者が入るということだろう。

 ただ,医者も看護師も防護服を着けることもなく入ってくる。
 まあ,全員フルワクチンだろうし,PCR1回目が陰性だったからというのはあるかもしれない。

 3年経っていろいろ知見が集まってきた上でのことなのだろう。

 結局,翌日のPCR検査も陰性で晴れて一般病棟の患者となったわけである。