眠気を感じなかったが,0時過ぎに寝た。


 4時過ぎにトイレ。

 口がカラカラだったので,うがい。


 酸素飽和度94,脈拍69

 まあこんなものだろうな。


 うつらうつらしながらいろいろ考える。

 考えるといっても,「下手の考え休むに似たり」でたいしたことは考えていない。

 ほとんど妄想状態である。

 内容はバカバカしいので書けない。

 67歳のジジイにしては情けない内容である。

 ちなみにエロ系ではない。

 そのへんとは最近は無縁である。


 6時7分 血圧と体温

 酸素飽和度94。

 横になったまま孫のような看護師と話す。


 飽和度が84に落ちても,ハアハアしたりしないんだよね。

 たぶん昔からこの状態で,低酸素に慣れきったカラダなのかもしれない。

 高地人みたいなものだ。

 「コーチジン?」

 ヒマラヤ山脈とか高いところに住む人。

 10年くらい前までは,寝ると疲れるってよく言っていたんだけれど,睡眠時無呼吸症なのかも。


 「数字モニターしていましたが,それほど下がっていませんでした。」


 そう,この機械身につけていてわかったのだけれど飽和度が下がるとちゃんと心拍数が上がる。

 140mくらいでも歩いたあとに見ると,飽和度88で心拍数が100とかつじつまを合わせている感じ。


 よくできているねえ,ニンゲンのカラダって。


 下剤のことも聞かれた。

 いまは快適すぎて,ずうっとここにいてもいいくらいだ。


 「退屈しないんですか?」


 会社をやめて12年,ほとんど引きこもりみたいな生活に慣れているから。

 ここでも,スマホとパソコンと新聞と本があれば大丈夫。


 そういえば,奥田英朗の「罪の轍」,ブレイディ みかこの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」は読み終えた。

 今はトマス・ハリスの「カリ・モーラ」に挑戦中である。

 脈絡なさそうなのは,妻のお下がりだから。


 7時40分 朝食

 寝ていたときの酸素飽和度は92だったが,食事中は88とかに下がる。

 なかなか数値が上がらない。


 何年か前から午前中は体調が悪い,午後は元気が出ると言っていたのだがそんな感じだ。


 途中で気がついたが,食べているのはご飯,メニューはパンになっていた。

 薬を持ってきた看護師に言ったらアラって言いながら出ていった。


 薬たくさん。


 8時15分 便意を催してきた。

 しめしめ。

 だが,ガス大爆発であとは音沙汰なし。

 しかし,小腸大腸が仕事をしている気配は感じる。

 気のせいかもしれないが。


 9時 リハビリ。

 いつもより1時間早い。

 ペダルこぎを15分。

 少し息が切れる感じ。

 きのう午後は92を切る感じはなかったが,今日はちょっと下る。


 部屋に戻って88。

 92に戻るまで2分もかかった。


 15分たった今の状態で95。

 なんだかなあ。


 神の手と尊敬する主任登場。

 いろいろ話す。


 便秘についても。

 今日は様子見で薬は使っていないというと,そんなに硬かったのなら酸化マグネシウムを使ってみましょうと。


 酸素の長いケーブルがそのままぶら下がっているのに気づいて,ちょっと待ってくださいと言ってビニール袋を持ってきてまとめていた。

 点滴のスタンドも片付けてくれた。


 主任はやはり違うね。


 9時55分。テレビ体操。

 家ではやっていたがここでは初めて。


 いやいや,体力ガタ落ちである。

 最後から3番め,足腰の運動はよれよれである。

 息が切れる。

 情けない。

 終わったところで酸素飽和度は84。

 およそ2分で92に戻った。


 なんだかなあ。


 10時8分 96。


 便秘に気を取られて書いていなかったかもしれないが,現状点滴はもちろん,酸素チューブも外された状態で,心電図と酸素飽和度の端末を24時間身に着けてマスクをしているだけなので行動範囲は広がった。

 気分的にはえらく楽である。


 しかし,人間贅沢なもので,今度は飽和度計のケーブルが鬱陶しくて仕方がない。

 LANケーブルくらいの太さでもう少しフレキシブルだが,足指でも測ることを考慮しているのか180cmぐらいの長さがある。

 たいていは左手の小指にはめているが,パソコンは打ちづらいし,何かと邪魔である。

 ベッドでパソコンを使うときは足の薬指にはめていたが,今はサンダル履きでそれも鬱陶しい。

 垂れ下がらないよう首を1周させてなんとかしのいでいる。


 11時30分

 自主トレと言ってもほとんど歩くだけだが。

 横目で病室を見ると,空きが目立ってきた感じ。

 名札を数えたら22名だった。

 ちなみに3日前は25名だった。

 入れ替わりもあるかもしれない。


 手に大きなボクシングのグローブを巻いたようなおじいさんがいなくなっていた。

 この部屋に入って以来,毎晩夜中にドンドンと何かを叩く音がするのだが,ひょっとして関係ある?


 リハビリや自主トレ後は,手をしっかりと洗う。

 デイルームの窓枠に手を置いて筋トレとかするから。

 部屋にはプッシュ式の石鹸とペーパータオルがあるのでそれを使う。


 12時昼食 ハヤシライス。
 病人食から抜け出しつつあるようだ。


 いつもの薬と酸化マグネシウム。


 朝ドラ再放送を見て,BS3の映画を横目で見つつ,女房が差し入れてくれた新聞を読む。

 「一律給付する余裕などない」とか「EU並に税率を引き上げろ」とか,日経の片隅のコラムは時代遅れの年寄りが好き勝手に書いている感じ。

 どうせ同じ年寄しか読まないと思っているのだろう。

 この前は,デフレ礼賛みたいなトンデモコラムもあって驚いたが,とにかく弱者に冷たい新聞である。


 マスコミはまあ大体こんな感じだが。


 まあ,経済には疎い方。門前の小僧である。


 14時過ぎ リハビリ。

 自転車漕ぎ15分。午前より回転を早めてみた。

 ゴムバンドを使ったストレッチなどいろいろ。

 自転車は酸素飽和度92以下にはならないが,腕を使ったストレッチは90を切った。

 すぐに回復したけれど。


 現在の飽和度は95。脈拍81。


 若い人と話すのは楽しい。

 看護師にしても理学療法士にしても,ほとんどが20代という感じだ。

 看護師と長時間雑談することはないが,リハビリの最中はほとんど雑談をしている。

 どこ出身かとかどこ住んでいるんだとか,いわゆる世間話だな。


 午前の女子は,いわき出身だったので,私の数年前小名浜からいわきまで一人で旅したよという話から彼女の東日本大震災の経験談をいろいろ聞いた。
 私が訪ねた竜田駅は知っていたが,末続は知らなかったな。いや,まちがって「すえつぐ」と言ってしまったかもしれない。監督か!


 午後の男子は福岡出身だった。

 50年前,下関に住んでいて博多どんたくを見に行った話などをした。

 古すぎだろう。


 だから年寄りはなんて言われてしまうのだろうが,半世紀以上前の話となると,そもそも彼らは卵子でも精子でもない時代だろうからな。

 いや,卵子であった可能性はあるかもしれないが…。

 まあ,そのへんはどうでもよい。


 リハビリ中は,当然のことながら,パルスオキシメータで酸素飽和度をチェックして下がりすぎると休憩にして回復を待つ。

 この機械,日本人の発明だからねえと言ったら,初めて聞きましたって。

 知らないのは僕だけかなあと心配していたが,意外と知られていないことかもしれない。

 ノーベル賞級の偉大な発明だと思うけどな。

 採血して装置にかけて分析して,なんてやってたら今頃私はどうなっていただろうね。


 17時 自主トレ。

 と言っても,とにかく廊下と自販機のコーナー付近を歩くだけ。

 予備室で,看護師1年生が二人,互いに採血の練習をしていたのでしばし見学させてもらう。

 コーチの指導の元,実際に血を採っている。

 私はこんな状態って,紫のアザだらけの両腕を見せたら結構受けた。


 飽和度が90を切ったので,自販機コーナーでしばし休憩。


 雨が今にも降り出しそうな空である。

 寝具などを交換してくれる女性が外を見ていた。

 雨ですかね,と話しかけてみた。

 しばし雑談。

 私のコロナ病棟体験記も聞いてくれた。


 今日は自慢ばかりだな。


 グルっと回って戻ってきた自販機の前で,主治医と遭遇。

 これは,LINEに書いた。


 行動の範囲が広がるといろいろな人や場面に出会う。


 18時夕食。


 薬:胃薬,リクシアナ,クラリスロマイシン,酸化マグネシウム

点滴の針の痕…

 担当の看護師は男子で2度め。

 こんなアザだらけの手だけど,君の入れてくれた手首の針の跡はきれいに消えているよとお礼を言った。

 前の晩から,腕を見て,どこにしようかと悩んでくれていたからな。


 消灯時間前に,血圧などを測りに来たときに,5分ほど話す。


 明日,ブルーインパルスが都心上空を飛ぶらしい。

 医療従事者への感謝を込めてということだが,私自身はお祭り騒ぎは嫌いではない。

 人々の気分が高揚するのも悪くはない。


 でも,たぶん,医療従事者は見ている暇はないだろう。


朝食昼食夕食